ダニエル書3-4 ; Ⅰヨハネ5

ダニエル書

第3章

3:1ネブカデネザル王は一つの金の像を造った。その高さは六十キュビト、その幅は六キュビトで、彼はこれをバビロン州のドラの平野に立てた。3:2そしてネブカデネザル王は、総督、長官、知事、参議、庫官、法官、高僧および諸州の官吏たちを召し集め、ネブカデネザル王の立てたこの像の落成式に臨ませようとした。3:3そこで、総督、長官、知事、参議、庫官、法官、高僧および諸州の官吏たちは、ネブカデネザル王の立てた像の落成式に臨み、そのネブカデネザルの立てた像の前に立った。3:4時に伝令者は大声に呼ばわって言った、「諸民、諸族、諸国語の者よ、あなたがたにこう命じられる。3:5角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞く時は、ひれ伏してネブカデネザル王の立てた金の像を拝まなければならない。3:6だれでもひれ伏して拝まない者は、ただちに火の燃える炉の中に投げ込まれる」と。3:7そこで民らはみな、角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞くや、諸民、諸族、諸国語の者たちはみな、ひれ伏して、ネブカデネザル王の立てた金の像を拝んだ。
3:8その時、あるカルデヤびとらが進みきて、ユダヤ人をあしざまに訴えた。3:9すなわち彼らはネブカデネザル王に言った、「王よ、とこしえに生きながらえられますように。3:10王よ、あなたは命令を出して仰せられました。すべて、角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞く者は皆、ひれ伏して金の像を拝まなければならない。3:11また、だれでもひれ伏して拝まない者はみな、火の燃える炉の中に投げ込まれると。3:12ここにあなたが任命して、バビロン州の事務をつかさどらせられているユダヤ人シャデラク、メシャクおよびアベデネゴがおります。王よ、この人々はあなたを尊ばず、あなたの神々にも仕えず、あなたの立てられた金の像をも拝もうとしません」。
3:13そこでネブカデネザルは怒りかつ憤って、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴを連れてこいと命じたので、この人々を王の前に連れてきた。3:14ネブカデネザルは彼らに言った、「シャデラク、メシャク、アベデネゴよ、あなたがたがわが神々に仕えず、またわたしの立てた金の像を拝まないとは、ほんとうなのか。3:15あなたがたがもし、角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞くときにひれ伏して、わたしが立てた像を、ただちに拝むならば、それでよろしい。しかし、拝むことをしないならば、ただちに火の燃える炉の中に投げ込まれる。いったい、どの神が、わたしの手からあなたがたを救うことができようか」。
3:16シャデラク、メシャクおよびアベデネゴは王に答えて言った、「ネブカデネザルよ、この事について、お答えする必要はありません。3:17もしそんなことになれば、わたしたちの仕えている神は、その火の燃える炉から、わたしたちを救い出すことができます。また王よ、あなたの手から、わたしたちを救い出されます。3:18たといそうでなくても、王よ、ご承知ください。わたしたちはあなたの神々に仕えず、またあなたの立てた金の像を拝みません」。
3:19そこでネブカデネザルは怒りに満ち、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴにむかって、顔色を変え、炉を平常よりも七倍熱くせよと命じた。3:20またその軍勢の中の力の強い人々を呼んで、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴを縛って、彼らを火の燃える炉の中に投げ込めと命じた。3:21そこでこの人々は、外套、下着、帽子、その他の衣服のまま縛られて、火の燃える炉の中に投げ込まれた。3:22王の命令はきびしく、かつ炉は、はなはだしく熱していたので、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴを引きつれていった人々は、その火炎に焼き殺された。3:23シャデラク、メシャク、アベデネゴの三人は縛られたままで、火の燃える炉の中に落ち込んだ。
3:24その時、ネブカデネザル王は驚いて急ぎ立ちあがり、大臣たちに言った、「われわれはあの三人を縛って、火の中に投げ入れたではないか」。彼らは王に答えて言った、「王よ、そのとおりです」。3:25王は答えて言った、「しかし、わたしの見るのに四人の者がなわめなしに、火の中を歩いているが、なんの害をも受けていない。その第四の者の様子は神の子のようだ」。
3:26そこでネブカデネザルは、その火の燃える炉の入口に近寄って、「いと高き神のしもべシャデラク、メシャク、アベデネゴよ、出てきなさい」と言ったので、シャデラク、メシャク、アベデネゴはその火の中から出てきた。3:27総督、長官、知事および王の大臣たちも集まってきて、この人々を見たが、火は彼らの身にはなんの力もなく、その頭の毛は焼けず、その外套はそこなわれず、火のにおいもこれに付かなかった。3:28ネブカデネザルは言った、「シャデラク、メシャク、アベデネゴの神はほむべきかな。神はその使者をつかわして、自分に寄り頼むしもべらを救った。また彼らは自分の神以外の神に仕え、拝むよりも、むしろ王の命令を無視し、自分の身をも捨てようとしたのだ。3:29それでわたしはいま命令を下す。諸民、諸族、諸国語の者のうちだれでも、シャデラク、メシャク、アベデネゴの神をののしる者があるならば、その身は切り裂かれ、その家は滅ぼされなければならない。このように救を施すことのできる神は、ほかにないからだ」。3:30こうして、王はシャデラク、メシャクおよびアベデネゴの位を進めて、バビロン州におらせた。

第4章

4:1ネブカデネザル王は全世界に住む諸民、諸族、諸国語の者に告げる。どうか、あなたがたに平安が増すように。4:2いと高き神はわたしにしるしと奇跡とを行われた。わたしはこれを知らせたいと思う。
4:3ああ、そのしるしの大いなること、
ああ、その奇跡のすばらしいこと、
その国は永遠の国、
その主権は世々に及ぶ。
4:4われネブカデネザルはわが家に安らかにおり、わが宮にあって栄えていたが、4:5わたしは一つの夢を見て、そのために恐れた。すなわち床にあって、その事を思いめぐらし、わが脳中の幻のために心を悩ました。4:6そこでわたしは命令を下し、バビロンの知者をことごとくわが前に召し寄せて、その夢の解き明かしを示させようとした。4:7すると、博士、法術士、カルデヤびと、占い師たちがきたので、わたしはその夢を彼らに語ったが、彼らはその解き明かしを示すことができなかった。4:8最後にダニエルがわたしの前にきた、――彼の名はわが神の名にちなんで、ベルテシャザルととなえられ、彼のうちには聖なる神の霊がやどっていた――わたしは彼にその夢を語って言った、4:9「博士の長ベルテシャザルよ、わたしは知っている。聖なる神の霊があなたのうちにやどっているから、どんな秘密もあなたにはむずかしいことはない。ここにわたしが見た夢がある。その解き明かしをわたしに告げなさい。4:10わたしが床にあって見た脳中の幻はこれである。わたしが見たのに、地の中央に一本の木があって、そのたけが高かったが、4:11その木は成長して強くなり、天に達するほどの高さになって、地の果までも見えわたり、4:12その葉は美しく、その実は豊かで、すべての者がその中から食物を獲、また野の獣はその陰にやどり、空の鳥はその枝にすみ、すべての肉なる者はこれによって養われた。
4:13わたしが床にあって見た脳中の幻の中に、ひとりの警護者、ひとりの聖者の天から下るのを見たが、4:14彼は声高く呼ばわって、こう言った、『この木を切り倒し、その枝を切りはらい、その葉をゆり落し、その実を打ち散らし、獣をその下から逃げ去らせ、鳥をその枝から飛び去らせよ。4:15ただしその根の切り株を地に残し、それに鉄と青銅のなわをかけて、野の若草の中におき、天からくだる露にぬれさせ、また地の草の中で、獣と共にその分にあずからせよ。4:16またその心は変って人間の心のようでなく、獣の心が与えられて、七つの時を過ごさせよ。4:17この宣言は警護者たちの命令によるもの、この決定は聖者たちの言葉によるもので、いと高き者が、人間の国を治めて、自分の意のままにこれを人に与え、また人のうちの最も卑しい者を、その上に立てられるという事を、すべての者に知らせるためである』と。4:18われネブカデネザル王はこの夢を見た。ベルテシャザルよ、あなたはその解き明かしをわたしに告げなさい。わが国の知者たちは、いずれもその解き明かしを、わたしに示すことができなかったけれども、あなたにはそれができる。あなたのうちには、聖なる神の霊がやどっているからだ」。
4:19その時、その名をベルテシャザルととなえるダニエルは、しばらくのあいだ驚き、思い悩んだので、王は彼に告げて言った、「ベルテシャザルよ、あなたはこの夢と、その解き明かしのために、悩むには及ばない」。ベルテシャザルは答えて言った、「わが主よ、どうか、この夢は、あなたを憎む者にかかわるように。この解き明かしは、あなたの敵に臨むように。4:20あなたが見られた木、すなわちその成長して強くなり、天に達するほどの高さになって、地の果までも見えわたり、4:21その葉は美しく、その実は豊かで、すべての者がその中から食物を獲、また野の獣がその陰にやどり、空の鳥がその枝に住んだ木、4:22王よ、それはすなわちあなたです。あなたは成長して強くなり、天に達するほどに大きくなり、あなたの主権は地の果にまで及びました。4:23ところが、王はひとりの警護者、ひとりの聖者が、天から下って、こう言うのを見られました、『この木を切り倒して、これを滅ぼせ。ただしその根の切り株を地に残し、それに鉄と青銅のなわをかけて、野の若草の中におき、天からくだる露にぬれさせ、また野の獣と共にその分にあずからせて、七つの時を過ごさせよ』と。4:24王よ、その解き明かしはこうです。すなわちこれはいと高き者の命令であって、わが主なる王に臨まんとするものです。4:25すなわちあなたは追われて世の人を離れ、野の獣と共におり、牛のように草を食い、天からくだる露にぬれるでしょう。こうして七つの時が過ぎて、ついにあなたは、いと高き者が人間の国を治めて、自分の意のままに、これを人に与えられることを知るに至るでしょう。4:26また彼らはその木の根の切り株を残しおけと命じたので、あなたが、天はまことの支配者であるということを知った後、あなたの国はあなたに確保されるでしょう。4:27それゆえ王よ、あなたはわたしの勧告をいれ、義を行って罪を離れ、しえたげられる者をあわれんで、不義を離れなさい。そうすれば、あるいはあなたの繁栄が、長く続くかもしれません」。
4:28この事は皆ネブカデネザル王に臨んだ。4:29十二か月を経て後、王がバビロンの王宮の屋上を歩いていたとき、4:30王は自ら言った、「この大いなるバビロンは、わたしの大いなる力をもって建てた王城であって、わが威光を輝かすものではないか」。4:31その言葉がなお王の口にあるうちに、天から声がくだって言った、「ネブカデネザル王よ、あなたに告げる。国はあなたを離れ去った。4:32あなたは、追われて世の人を離れ、野の獣と共におり、牛のように草を食い、こうして七つの時を経て、ついにあなたは、いと高き者が人間の国を治めて、自分の意のままに、これを人に与えられることを知るに至るだろう」。4:33この言葉は、ただちにネブカデネザルに成就した。彼は追われて世の人を離れ、牛のように草を食い、その身は天からくだる露にぬれ、ついにその毛は、わしの羽のようになり、そのつめは鳥のつめのようになった。
4:34こうしてその期間が満ちた後、われネブカデネザルは、目をあげて天を仰ぎ見ると、わたしの理性が自分に帰ったので、わたしはいと高き者をほめ、その永遠に生ける者をさんびし、かつあがめた。
その主権は永遠の主権、
その国は世々かぎりなく、
4:35地に住む民はすべて無き者のように思われ、
天の衆群にも、
地に住む民にも、
彼はその意のままに事を行われる。
だれも彼の手をおさえて
「あなたは何をするのか」と言いうる者はない。4:36この時わたしの理性は自分に帰り、またわが国の光栄のために、わが尊厳と光輝とが、わたしに帰った。わが大臣、わが貴族らもきて、わたしに求め、わたしは国の上に堅く立って、前にもまさって大いなる者となった。4:37そこでわれネブカデネザルは今、天の王をほめたたえ、かつあがめたてまつる。そのみわざはことごとく真実で、その道は正しく、高ぶり歩む者を低くされる。


Ⅰヨハネ

第5章

5:1すべてイエスのキリストであることを信じる者は、神から生れた者である。すべて生んで下さったかたを愛する者は、そのかたから生れた者をも愛するのである。5:2神を愛してその戒めを行えば、それによってわたしたちは、神の子たちを愛していることを知るのである。5:3神を愛するとは、すなわち、その戒めを守ることである。そして、その戒めはむずかしいものではない。5:4なぜなら、すべて神から生れた者は、世に勝つからである。そして、わたしたちの信仰こそ、世に勝たしめた勝利の力である。5:5世に勝つ者はだれか。イエスを神の子と信じる者ではないか。5:6このイエス・キリストは、水と血とをとおってこられたかたである。水によるだけではなく、水と血とによってこられたのである。そのあかしをするものは、御霊である。御霊は真理だからである。5:7あかしをするものが、三つある。5:8御霊と水と血とである。そして、この三つのものは一致する。5:9わたしたちは人間のあかしを受けいれるが、しかし、神のあかしはさらにまさっている。神のあかしというのは、すなわち、御子について立てられたあかしである。5:10神の子を信じる者は、自分のうちにこのあかしを持っている。神を信じない者は、神を偽り者とする。神が御子についてあかしせられたそのあかしを、信じていないからである。5:11そのあかしとは、神が永遠のいのちをわたしたちに賜わり、かつ、そのいのちが御子のうちにあるということである。5:12御子を持つ者はいのちを持ち、神の御子を持たない者はいのちを持っていない。
5:13これらのことをあなたがたに書きおくったのは、神の子の御名を信じるあなたがたに、永遠のいのちを持っていることを、悟らせるためである。5:14わたしたちが神に対していだいている確信は、こうである。すなわち、わたしたちが何事でも神の御旨に従って願い求めるなら、神はそれを聞きいれて下さるということである。5:15そして、わたしたちが願い求めることは、なんでも聞きいれて下さるとわかれば、神に願い求めたことはすでにかなえられたことを、知るのである。5:16もしだれかが死に至ることのない罪を犯している兄弟を見たら、神に願い求めなさい。そうすれば神は、死に至ることのない罪を犯している人々には、いのちを賜わるであろう。死に至る罪がある。これについては、願い求めよ、とは言わない。5:17不義はすべて、罪である。しかし、死に至ることのない罪もある。
5:18すべて神から生れた者は罪を犯さないことを、わたしたちは知っている。神から生れたかたが彼を守っていて下さるので、悪しき者が手を触れるようなことはない。5:19また、わたしたちは神から出た者であり、全世界は悪しき者の配下にあることを、知っている。5:20さらに、神の子がきて、真実なかたを知る知力をわたしたちに授けて下さったことも、知っている。そして、わたしたちは、真実なかたにおり、御子イエス・キリストにおるのである。このかたは真実な神であり、永遠のいのちである。5:21子たちよ。気をつけて、偶像を避けなさい。


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